2024/4/19
『失語症になりましてC』
手術をしてから3日目には、身体は元通りには行かないまでもそこそこ動けるので、病室のベッドにいるには退屈すぎました。
廊下でこっそりシャドーしたりスクワットしたりして、看護師さんに怒られました…。
4日目に担当のお医者さんがリハビリテーション室に連れて行ってくれて『適当に動いても構いませんよ』的な事を言われたので、天井からつってあるボールを色々蹴ったり突いたりしました。
それからマットがあったので、受け身を色々やったり、仰向けから両足をクルクル回したり、自転車漕ぎをしたり、腰を回したり、ヒップトスしたりしましたが、どうもぎこちなく、こんなはずじゃなかったのになーと思っていたら、お医者さんも深妙な顔をしているようでした。
『身体が思うように動かないんですよ』と言ったつもりが言葉が出て来ない…。
そもそも『手』も『足』も『右』も『左』も『上』も『下』も『前』も『後』も全部わからない。いや、わかっているのに言葉が出て来ない。
マジで困ったと思っていたら看護師さんがリハビリテーション専門の病院を紹介してくださいました。
という事で緊急病院の昭和病院から清瀬市の東京病院リハビリテーション科に移りました。その時にわざわざ長谷川勝一初段が車で迎えに来てくださいました。
長谷川さん、本当にありがとうございました。
病室はコロナに罹ってないかを見る為3日間個室病室に移されました。3日間病室以外は出ては行けないのですが………サァ、家内が持って来てくれた加圧トレーニングベルトとチューブを出して練習の始まりだ!
加圧して拳立伏せ、背中、肩、腕、背筋、腹筋、首、そしてスクワットだ!バーベルもダンベルもないので、チューブ、椅子、ベッドを利用して、出来る事をやりました。
3日後、コロナもなかったので個室から4人部屋に移されました。そして言語療法士、理学療法士、作業療法士の方達との訓練が開始しました。みなさん良い人ばかりで練習するのが楽しみになりました。
言語療法士は主にコミュニケーション機能の改善や嚥下機能の改善、理学療法士は基本動作能力の維持や回復、障害の悪化の予防、作業療法士は日常生活に必要な応用動作の回復や社会適用能力の維持・回復を目的としているようです。
言語療法士の中村先生、理学療法士の古田先生とも若く綺麗な女性でした。
作業療法士の湯浅先生は若い男性でした。私は基本動作は出来るので、もっと走ったり限界までエアロバイクやウォーキングマシンを走ったりしたかったのですが、元々患者さん専用のようで、理学療法士の古田先生は許可してくれませんでした…。
次に作業療法士の湯浅先生が握力計を出して『江口さん、右と左の握力はかってみてください』と言ったので握力計で測って見たら……
『右が19s、左が31sですね』 えっ?
えっ??全盛期は右が72s、左が74sあったのに…。またまた愕然…。
湯浅先生が『江口さんならきっと戻りますよ』と慰めてくれて、それから握力グリップを貸してくれる毎日が始まりました。
(つづく)