2024/3/15
鳥山明先生逝去
押忍、八王子みなみ野道場の戸谷です。
つい最近のことですが、漫画家の鳥山明先生が3月1日に急性硬膜下血腫のため亡くなりました。68歳でした。
鳥山先生は『Dr.スランプ』や『ドラゴンボール』などの超人気漫画を世に生み出し、『ドラゴンクエスト』や『クロノトリガー』などゲームの総合デザインも手掛けました。
ポップで印象的なデザインのキャラクターたち、独創的かつ緻密に描かれたメカや背景…自作の漫画はもちろんのこと、鳥山先生が関わった全ての作品は「唯一無二の鳥山明の世界」として確立していました。
我々の世代は、ドラゴンボールとドラゴンクエストは絶対に通る道でしたね。
いずれもただの人気作という枠ははるかに飛び超えていて、多くの同世代にとって想像力や人生観、あるいは取り巻く文化そのものの原点になっていたと言っても過言ではないと思います。
鳥山先生が亡くなったというニュースが流れてから、SNSには鳥山先生がこれまで手掛けてきたお仕事の数々、後輩漫画家を始めとした影響を受けてきたクリエイターたちからの死を惜しむ声が溢れていました。
自分は普段、有名人の訃報をできるだけ他人事として受け流すようにしているのですが、それらの追悼メッセージを見ていたら、「ああ、俺もみんなも、この人に育てられてきたんだな」と思って、柄にもなく泣けてきました。
みんなドラゴンボールを見て、ドラクエをやって育ってきたわけです。
ネット上でよく取り上げられているのが、ドラゴンボールに登場する亀仙人のこちら↓のセリフです。
このあと、「…ようするにいっしょうけんめい修業して、人生を楽しくくらしちゃおう、ということじゃ」と続きます。
子供の頃はこのセリフをテキトーに読み飛ばしていましたが、30を過ぎて空手の指導員になったときに見返してみて、本当にハッとさせられました。
ここまで端的に現代社会体育としての武道のあるべき姿を説いてくれている言葉はありません。
ここ数年は本当にこの亀仙人の言葉をかみしめながら指導をしていることが多いです。
道場運営や選手育成で視野狭窄に陥りそうになった時に、「そもそも空手を教えている意味ってなんだっけ?」
の答えとして、自分を立ち返らせてくれます。
このセリフを深掘ったドラゴンボールの考察記事があるので、長いですが興味のある方はぜひご一読ください。
ドラゴンボールの考察記事の中で自分が一番好きなものです。
「ドラゴンボールはフリーザ編で終わってたら名作だった」とかのたまう輩に鉄槌を下しブウ編がいかに最終章として素晴らしいかを力説するための覚え書き
<銀河孤児亭>
語っていたらキリがないのですが、鳥山明先生の最後の大きな仕事は2023年夏に公開した映画『SAND LAND サンドランド』ではないでしょうか。
2000年に鳥山先生が週刊少年ジャンプで短期連載していた同名漫画を20年越しに映画化したものです。この映画では原作者の立場で世界観の補強や物語のアイデアを提案していたそうです。
…しかし、この映画『SAND LAND』、興行成績は全く振るわずに公開を終えてしまいます。
公開期間中に「動員数はまだまだですがぜひご覧になってくださいね!」と異例の原作者直筆メッセージが出されるほどでした。
では中身もダメダメな映画だったのかと言ったら…そんなことはまっっっったくありません。
いやこれがすんごい面白くてロマンに溢れる内容なんですよ。世界の鳥山明ここにありといった感じです。
映画レビューYouTuberのホッカイロレンさんが、こちらの映画をとても的確かつ面白く紹介してくれています。
興味が湧いたらぜひBlu-rayを買ってみてください。(どこかで配信もされている?)
【悲報】鳥山明の新作映画、誰にも見られずヒッソリ終わりそう…『SAND LAND サンドランド』
<ホッカイロレン>
ちなみに『SAND LAND』は、3月20日からディズニープラスで新たに全13話連続アニメシリーズとして配信されます。(最初の6話が映画版再構築)
また、4月25日にはバンダイナムコからPlayStationやSteamなどのマルチプラットフォームでゲームも発売されます。このゲームも結構良さそうです。
『SAND LAND(サンドランド)』 ゲームプレイトレーラー 【2024年4月25日(木)発売】
<Bandai Namco Entertainment>
鳥山先生は本当に第一線の現役のまま亡くなってしまいました。
しかし、作品は不滅です。
ドラゴンボールは死後の世界があまり現世と変わらないというか、わりと楽しそうに描かれているのですが、鳥山先生も今そんな感じのあの世にいるのだと思います。
改めて、ご冥福をお祈り申し上げます。ありがとうございました。