2024/2/7
『失語症になりましてB』


入院1日目の夕方、ベッドで横になってたら看護師さんが病院食の重湯を出してくれました。
『ありがとうございます』と言ったつもりが出てこない。うなずくだけです。困ったな…こりゃ咽喉の病気に間違いないな…。

どうしようかと思ったけど仕方がないので、TVでも見ようとしたら病院だからTVもカードがないと見れない…。
『スイマセン、TVカード下さい』と言いたかったけど出てこないし、そもそも財布もiPhoneも本も無い。(あとで分かったのですがちゃんと妻が管理していてくれたのでした。感謝!)
しょうがないので眠ったら爆睡。

朝6時頃看護師さんが『江口さん、おはようございます』と挨拶したので『おはようございます』と返したつもりがまたまた出てこない…。世も末だ…と思っていたら9時頃に病院長の先生達がやってきた。
先生達は各病棟を回っているようで、私のところにも来ました。

先生が『江口さん、調子はいかがですか?』と聞いたので『実は言葉が出ないんです!』と思って『ア〜アァ』と返したら、先生も『うん、大丈夫そうですね』と言って、他の先生達と一緒に別の病棟に行ってしまいました…。

どうしようかと思っていたら10分後位に、さっきと違う若い先生(私は知らなかったのですが脳梗塞の手術を担当してくださった先生でした)がきて『江口さん、回復して良かったですね、。江口さんは脳梗塞だったんです。』

……ん、脳梗塞?脳梗塞じゃないでしょ、身体もなんともないし。右手足がまだぎこちないけど直ぐにまた元に戻るだろうし…。でも出てこないんだよな?言葉が…。

悶々としているうちに月日は流れて一週間目くらいの朝、病棟の看護師の人から『江口さんは脳梗塞からくる失語症です』と言われてしまいました。
失語症?
初めて聞く病気だ。こりゃ治るのに3〜4日間かかるかな…下手すりゃ10日かも知れないな。
でもまぁ5月14日に脳梗塞になったとして6月の大阪の大会までには間に合うだろう…。と思って毎日看護師(言語聴覚士)の人と言葉の練習をしていました。
そして5日目に検査をしました。その結果は……
『最低でも6ヶ月はかかります。

………絶望……
悲しみからくる喪失感。稽古・練習できない失望感。その他諸々からくる負の感情が重なり合って途方にくれました………
1日だけ。

絶望だって希望の手前だ!やるしかない!いや、やってみせるぜ!こうして新たなスタートが始まりました! (続く)