2023/4/18
「ダンナさん脳梗塞で倒れる・番外編」
江口美幸です。昨年ダンナさんが脳梗塞で倒れてから今までの事をブログに書いて来ましたが、いくつかそこには書けなかった家庭のエピソードなどがありました。今回はそれを書こうかと思います。
ダンナさん、リハビリ病院に入院しているとき、もちろん娘達に会いたくて、朝と晩に電話で話すのを楽しみにしていました。
娘達も、はじめの何日間かは
「パパ、パパ、大丈夫?」
と言って涙ぐみながら電話で話していたのですが、一ヶ月過ぎたあたりから、だんだんと
「あーパパ。うん?うん、普通」
などと、なんか投げやりになってきて、もう最後の方の朝は、
「あ、パパ、今、日焼け止め塗ってるからまた夜にね」「ごめん、今日は日直だから話せない」
などと、どんどんつれない態度になってきて、ちょっと可哀想なパパでした。
入院中、何度か、病院に必要な物を持って行かなければいけない時がありました。
緊急病院はバス一本で40分程で着きましたが、リハビリ病院は電車とバスを乗りつぎ、少し遠くまで行かなければなりません。
あの時期、忙し過ぎた私はとても行けなかったので、高校生の娘に頼むことになりました。
学校が早く終わる曜日に、登校する時に荷物を持って行ってもらい、学校のロッカーに置いておき、帰りに電車とバスで病院まで行き、届けてもらいました。
娘よ、あの時は助かったよ、ありがとう。
今日、娘が荷物を届けるよ、コロナだから会えないけどね、とダンナさんに電話で言うと
「何時に、来るの?」
と訊くので
「学校の帰りだから、6時くらいだと思うよ」
「そう、わかった」
…そしてここからは病院から帰ってきた娘の話です。
「ロビーで受け付けして、病棟のエレベーターホールに行くでしょ。そしたら、あそこの長い階段から、笑顔のパパが、おおーい!って言いながらすごい勢いで駆け降りてきて、一直線に私のところに走ってきたの」
どうやら、窓のところで、じっと娘が来るのを見張っていたらしい…。
「パパの姿が見えたとき、やっぱり少し涙が出かけたんだけど、そばにいた看護師さんが、あっダメですー!って叫んで、慌ててパパを静止してさあ」
格闘技のレフリー並みに割って入って、ダンナさんを止めたらしい…。
「エレベーターホールって、結構人がいるんだよ。みんなびっくりして、こっちを見ちゃって」
それは年頃の女の子には辛いな…。
「看護師さんが、娘さんですか?じゃあ今回だけですよ、って言って、6メートルぐらい離されて、ここで会話してください、って言ったの。パパが、元気ーっ!?って言ってさ…あんなに大きい声を出す必要はないんだよね」
「災難だったね」
「うん。涙も引っ込んじゃった。それで、元気だよ、パパは大丈夫?元気?って私が言ったの。そしたらパパが、元気!元気!こんなに元気!って言って」
「え、まさか」
「うん。元気アピールするために、シャドーはじめた」
「やっぱり!」
「さっきも言ったけど、エレベーターホールって、結構、人がいるんだよね…それでさ、もう早く帰ろう、って思って」
「娘への愛情が裏目に出たな」
「パパ、コロナで本当は会っちゃいけないんだからね、もう帰るよ、って言ったら、うん!って言ったんだけど、パパ笑顔で動こうとしないの。だから、もう病室に帰っていいよ、って言ったら、ううん、見送る!って言うから、わかった、じゃあねって言って、背中向けて帰ろうとしたら、パパがさ…」
娘は、ため息付きながら
「すごく大きい声で、気をつけてねー!!って言ってさ。慌てて、振り返って、わかった!って言ったら、またパパが、車に気をつけてねー!!って、大声出して…もう、早く立ち去るしかない、って思って、駆け足みたいにしてそこを出たんだけど、後ろからパパの声で、知らない人にはー!!とか何とか、声が聞こえたんだけど、もう走って逃げた」
最愛の娘に逃げられてる…。
しかし懲りないダンナさん。娘が次の荷物を運んでくれる日になったらまた電話で
「何時に来るの?」
「…また6時くらいだけど、もうダメだよ、会いに来ちゃ。病院の人に迷惑かけないようにね」
「うん、大丈夫」
…そしてまた、窓からじっと見張っていて、来た!という時に、病室に看護師さんがいたので、そっと出ようとしたら看護師さんが
「江口さん(怒)、どこ行くんですか?」
ダンナさんビクッとして、
「えっ…あの…トイレ…」
「トイレですね?面会は禁止ですからね?わかってますね?」
と怖い顔で言われて、2回目の悪事を働くことは出来なかったそうです。ガッチリ監視されてたんですね。
看護師さん達には、ご迷惑をお掛けして本当にすみませんでした。
そして娘達、あの時期は空手の指導をたくさん手伝ってくれてありがとうね。家事も手伝ってくれてありがとう。
まあ、家事は、だんだんずさんになっていったような気がしないでもないけど…。やっておいてね、って言った洗濯物とか、そのままになっていることが多くなってはいったけど…。
でもありがとう!ママは感謝しているよ!