2020/7/13
無用の用
お久しぶりです、国立&日野豊田の小沢です。
道場が再開されて1カ月ちょっとになりますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
当たり前のことなのですが、道場は来てくださる人たちあってのもの、この1カ月ちょっと、皆さまと再びお会いできて正直楽しくてしょうがありません!
緊急事態宣言下でまざまざと突きつけられたのは、これまた当たり前ではあるのですが、我々のやっている活動は不要不急のものであり、社会にどうしても必要なものではない、という事実でした。
そんな中で社会を維持するための活動に従事しておられた、いわゆるエッセンシャルワーカーの方々には心底頭が下がりますし、感謝の念に絶えません。
本当にありがとうございます。
一方で不要不急の活動が、いかに日々の生活や人生を豊かにしてくれるものか、ということも最近毎日痛感しています。
先ほども言いましたが、実に楽しいです。
なんだか古代中国の思想家、老子の「無用の用」という話を思い出しました。
無用の用というのは、例えば茶碗みたいな器は土とかをこねて焼いて作られています。
で、普通に「茶碗」という場合は、そのこねて焼いて作った物質の部分を指すわけですが、実際にご飯とかを入れるのは中央の何も無い部分な訳で、茶碗が茶碗としての機能、いわゆる用が果たせるのは器の部分だけでなく、中央の無の部分があってのもの、というようなお話です。
わりと色々な解釈ができる話だとは思いますが、一見役に立たないように見えても意外と役に立っている、とか、無意味なもの無駄なものなど何もない、みたいな解釈が一般的かと思います。
ワタシ自身は、意味の有る無しや役に立つ立たないでばかり物事を判断する考え方は、それ自体があまり意味が無かったり役に立たなかったりするよ、という話としても受け取っています。
願わくば我々も、無用の用たる存在でありたいものです…
さて、まあそれはそれとして、道場は再開されましたが、感染拡大の可能性は常につきまとい続けているわけなので、国立や日野豊田では可能な時は屋外でのトレーニングも行っています。
そんな日野豊田、公園での外トレの帰り道…
公園の外壁の上にメガネが落ちているのを見つけました…
ワタシ自身はメガネを用いないのですが、メガネユーザーの方にとってはさぞかし不便であろうと思いました。
…が、問題はそこでは無く、その下の茶色いライン、いったい何だと思われますでしょうか?
これが近づいてよく見ると、ちっちゃいアリの大行列でして、子どもたちの1人が発見してちょっとびっくりしたので、
「キミたちは行列のスタート地点を探せ! ワタシをゴール地点を探す!」
とか言って、急きょ手分けして探索を行いました。
「行列、まだ続いています!」
「こちらもまだゴールが見えない! いったいどこまで続いていやがるんだ…」
とか言いながら探索していると…
あれ!?
なんということか、スタート地点探索チームと再会してしまいました…
結局行列は全長50メートルぐらいの巨大な輪になっていて、ひたすらグルグル循環しているようなのでした…
もの凄い数のアリンコが…
正直全く意味が分かりませんでしたが、多分なんかの意味があるんでしょう。
とりあえず凄かったです!
意味が分からないと言えば、草木のあるところを歩いているとよく遭遇するんですが、蚊柱と言うんですかね、ちょうど顔の高さに嫌がらせのように群れている虫の大群、あいつらも本当に意味が分からないです。
あと、自転車とかで走っていると、わざわざ目を狙って飛び込んでくると思しき小虫のヤツら、あいつらも本当に意味が分からないです。
こちらとしてはめちゃくちゃ痛いし、ヤツらも確実に死に至るわけで、誰も得しない、win-winならぬlose-loseなかんじなので、なんかもう本当にやめていただきたいと思います。
さて、虫の話をいくつかいたしましたが、ご存知の方もおられるかとは思いますが、今年1月ぐらいからコロナ感染拡大と並行して、アフリカ北部で発生したサバクトビバッタというバッタの超大群が、中東?パキスタンを経て中国に迫り、またアフリカ方向に折り返したみたいで…
バッタの仲間の中には、普段は普通に暮らしているのですが、何らかの環境要因(まだよく分からないのですが)によって、群生相という凶悪な狂戦士モードになって大群を作り、あらゆるものを食い尽くすものがいます。
日本でも昔からイナゴやトノサマバッタの蝗害は、何度となく被害を出してきました。
今回のサバクトビバッタの大発生はとんでもない規模で、世界的な食料危機にもつながる恐れがあり、当たり前ですがバッタは国境とかも全く気にしないので国単位では対策も立てづらく、極めて深刻な事態となっています。
ワタシ自身がこのニュースを知ったのは2月上旬ごろだったのですが、その時はちょうどパキスタンから中国にバッタが向かっているという時期で、中国政府はバッタの大群に対抗するため、国境付近に10万羽のアヒル軍団を集結させ、バッタを食べさせ、その後でアヒルは北京ダックの材料にしてしまう、というニュースと共に伝わってきました。
結局それはフェイクニュースだったのですが、当時ワタシはものの見事に信じてしまいました…
よく考えれば北京ダックのくだりとかすごくウソ臭いんですが…
情報の見極めは難しいけどとても大事ですね。
この動画は誰かが作ったフェイク動画なんですが、ワタシのイメージもこんな感じでした…
https://youtu.be/B0DlnevSsXY
昔から生き物を使って他の生き物の害を制する、という対策はわりとよくありますが、個人的にはあまり上手くいかない印象が強いです。
奄美大島でハブを退治するためにマングースを放ったところ、ハブではなく希少種であるアマミノクロウサギを食べてしまったため、今度はマングースの駆除をするはめになった、とか非常に難しいです。
それは結局先ほどの無用の用の話にも関わるかと思いますが、生態系みたいな複雑極まりないシステムにおいては、誰がどの様な役割を果たしていてどんな影響があるか、ということはどこまで行ってもよく分からないので、人間が恣意的に制御するのは無理なのだと思います。
ウイルスは生物ではありませんが、自己増殖を目的として極めて生物的な振る舞いをするものなので、これもまた制御するのは極めて難しいかと思います。
とは言え我々人類はそういったものとこれまでもずっと共に生きてきたわけで、これからもまたそうしていくことになる、ということなのでしょう。
日々粛々と生きていきましょう!
また次回