2017/2/20
「かねはら整骨院で美顔体験」
江口美幸です。
ある日、金原先生が言いました。
「美幸さん、整骨院で美顔やらない?ハイボルテージ(電気を流す治療機)で、美顔ができて、すごく効果あるんだよ。うまくいったら、美顔コース作ろうかなって思ってるんだけど。試したいから、時間ある時に来てよ」
おお、美顔!私は大人になってから、ひたすら、強くなりたいという思いで今まで生きてまいりましたが、そういう一般的な、美の方にも全く興味がないわけではないです。
美しくありたいという願いはもちろんありますし、可愛いもの、可愛い色も好きです。だから、金原先生が
「そろそろ必要だから買っておいてください」
と言ったので先日購入したオープンフィンガーグローブも、色はピンクにしました…って、少し違うでしょうか。
さて、ちょっとドキドキしながら用賀の整骨院に行くと
「おー、美幸さん、来たねー」
と先生が笑顔で迎えてくれて
「じゃあ早速そこで顔洗ってよ」
と言われたので、整骨院の中の水道でバシャバシャと顔を洗っていると
「洗顔はゴシゴシこすらずに、泡で包み込むように洗うんだよ」
と渋い顔で注意されたのには、かなりびっくりしました。
なんというか…あの金原先生が、洗顔のコツを…。外車と永ちゃんとマイク・タイソンが好きな、ほら、そういう人が。
今まで、人の投げ方締め方関節の極め方、色々なことを教えてもらっていますが、その中でこれが一番の衝撃だったかもしれません。
「そうだ、ビフォアーアフターだよ。写真撮ろう。それで全然違ったらすごいじゃん」
と先生は鞄の中をゴソゴソとして携帯を取り出そうとしましたが、しまった!という表情で
「やばい、俺、携帯忘れちゃった」
と言いました。
気をとり直して、いよいよハイボルテージを顔に当ててもらいます。ベッドに仰向けになり、先生は私の頭の上の方に座り、なんか、よくテレビで見るような、アロマ漂う空間で、綺麗なお姉さんに顔のマッサージをしてもらうような形になります。
おー、なんか私!マダムって感じ!素敵!
と思いうっすら目を開けると、先生の顔の、明らかに殴られてできた無数の傷痕が目に飛び込んで来たので、慌てて目を瞑り、夢の続きを見ることにします。
ハイボルテージを顔に当てるのは、不思議な感じでした。気持ちがいいのとは違いますが、トントンと骨の方まで微かに振動が来る感じ。
「わー、なんか、身体じゃなくて、顔に何かしてもらうのは、贅沢ですね」と言うと先生はいつもの台詞「セレブじゃん!」と笑顔で言いました。
「いやー、これ以上美しくなっちゃったら、どうしましょう」と私がふざけて言うと、先生が「そーだよどーする、街へ出たら男が寄って来たらさあ!師範がやきもち焼いてさあ。惚れ直しちゃうじゃん!」とゲラゲラ笑いながら大声で言われ、その返しも本当に先生らしさ全開で、アロマの雰囲気は一片もありませんでしたが、まあ、それはもういいんです。
私は雰囲気が良くて値段が高くてあまり効果はない、いい気持ちにしてくれたけどね、的なマッサージより、値段は安くて、洗顔料なども自前で、流しで顔を洗って、院長先生はおべんちゃら一切言わないんだけど、効果絶大で、その人はとてつもなく強くて、骨と筋肉をどうやったら壊せるか、治せるか、熟知していて、身体に悪いところあったら絶対に治す!来やがれ!という方がいい。…うん、そう思います。
さてハイボルテージが終わった後は、パックをすると非常に良いそうで「パックを持って来て」と前もって言われていたので、自前のを持って行きました。
パックを顔にペタッと張り付けると
「じゃあ美幸さん、しばらくここで休んで行きなよ。眠たかったら寝ちゃっていいよ」
「あ、はい、ありがとうございます」
「その間に俺、携帯取って来るよ」
「あ、そうですね、行ってらっしゃい」「脚のマッサージのやつ、やりながら寝る?」
「あーよろしければ是非。それ気持ちいいので」
「20分位で戻るからさー」
遠慮なく、整骨院のベッドにゴロンと横になり、寝ちゃおうかなー、と思っていると、先生が、受付にある電話の子機を、私の枕元にポンと置きました。ん?と思い先生を見上げると
「美幸さん、もし電話が鳴ったら、はい、かねはら整骨院です、って言ってよ」
へっ?
「えっ!先生、待ってください、私、ここの料金体系も頭に入っておりませんし、地理もまだ良く分かりません。問い合わせを受けても、何も答えられませんが!」
慌てふためいて言うと
「大丈夫だよ、適当に答えといてよ」
「適当って…いや先生無理です!あれっ先生、鍵は?先生ー!」
先生、バイクにまたがり、ブーンって、行ってしまいました…。
整骨院の入り口に「留守です」とか「すぐに戻ります」の札を出して行くとか、鍵を閉めて行ってくれるのかと思ったら、開けたまま行っちゃった…。
私、パックしてるままなんですが…。
絶対絶命。この続きはまた来週!