2016/4/25
ザハリ・ダミヤノフ選手100人組手挑戦
押忍。八王子みなみ野道場戸谷です。
つい先日、2016年4月23日に本部直轄代官山道場で第11回世界大会チャンピオンのザハリ・ダミヤノフ選手の100人組手が行われました。
100人組手は極真空手の歴史の中でも達成者はごくわずかで、成功でも失敗でも終えれば即入院と言われるほどの荒行です。
挑戦できるのは、当代の世界チャンピオン、もしくはそれに準じる実績実力を持つ選手だけです。最近では2014年に第10回世界大会チャンピオンのタリエル・ニコラシビリ選手が見事に完遂されていますが、道半ばでストップしてしまった名選手も数多くいます。
自分も当日対戦者の一人として参加させていただきました。
呼び集められた対戦者たちは集合時間より早めに来ている人が多く、組手が開始されるだいぶ前から道場には緊張感が漂っていました。極真空手の一つの歴史、誰にとっても特別な行事です。
結論から言うと、今回の100人組手は70人目を終了したところでドクターストップ、失敗となってしまいました。ザハリ・ダミヤノフ選手は全身の筋肉が痙攣し身動きが取れない状態になってしまいました。
通常の試合で「体のどこを効かされた」「どこを怪我した」というのとはまた違い、長時間に渡り打撃を受け続け、限界を超えて動き続けるというのは、内臓も含めた全身に想像しがたいダメージがあるようです。
世界大会であれほどのタフさを見せてくれたダミヤノフ選手でしたが、苦悶の表情で道場を後にしました。
ただ、途中までの強さ、上手さは圧倒的なものでした。
ガツガツに仕掛けていく対戦者ばかりで、松井館長からも「かかる側はきちんとした組手にしなさい。手心を加えるな」という指示もあり、厳しく激しいやり取りが続く中、体力的に動けなくなってきてもタイミングを計った強烈な一撃で技ありを奪っていくダミヤノフ選手の姿は気迫に溢れていました。
100人組手の挑戦に二度はないので「この経験を活かして次は成功させる」とはいきません。その一生に一度を全身全霊を懸けて臨んだ世界チャンピオンの姿は立派なものでした。また、それでも達成できないからこそ100人組手の価値があるものだと思わされました。
その場に居合わせた対戦者、見学者の一人一人が、その様子、それぞれの感慨を道場に持ち帰り還元していくことと思います。
押忍。