2013/10/24
激闘!ソンラム先生VS私
江口美幸です。
すっかり秋になりましたね。秋って、いいですね。なにがいいって、涼しいところ。
今年の夏も、本当に暑かった・・・。夏のはじめにソンラム先生が来て、とても暑い日、全く冷房をつけようとしない先生の姿を見て、(ああ、やっぱりそうなんだ・・・やっぱり、今年も、あれがはじまるんだ・・・)と、ため息をつきました。
それでも頑張って、一年前にいたシアン先生に「冷房を入れてください」と言いたいが為にはじめたタイ語で、「先生、暑いですね」と話しかける私。「うん、暑い」とにこにこしながら答える先生。うーん、遠回り過ぎて通じなかったか。
「先生、暑くないですか?」「暑いよー」私がエアコンのリモコンを見せながら「冷房をつけることができます」「だいじょぶ。ありがとう」にこにこ。ふーむ、手ごわい!
で、次に先生が来た日、思い切って「先生、とても暑いと先生が感じるとき、どうぞ冷房をつけてください」と、はっきりと言ってみました。
先生は、片言の日本語で「今、暑い。でも、これ(冷房を指差して)、寒い」と言いました。
・・・いやいや先生!冷房は寒くないよ!涼しいよ!・・・ていうか、暑いんだけど、冷房入れると寒いからねえー・・・って、お婆ちゃんかあ?
数日前、皆で、なぜソンラム先生は冷房をつけないのだろうか?という話をした時、谷岡さんが、「先生は冷房入れると風邪引くんじゃないですか」と言ったのを思い出しました。谷岡さーん、ある意味、正解です!合ってた!
そこで私は思いついたのです。お婆ちゃんは、冷房は苦手でも、扇風機は使っている、と。で、次に先生が来た日、私は扇風機を出して、先生と、ミットをやっている人にまんべんなく風がゆくように置きました。
先生は、私が設置しているのをちらりと見ましたが、何も言いませんでした。
その日のミットは絶好調!我ながら大変にキレがよかったです。よしよし、これからは扇風機だな、とルンルン気分で先生に礼をして、加圧の仕事をする為に一度退出して、5階に上ってゆきました。いいことをした、きっと皆も、私に感謝しているに違いない、と思いながら仕事をし、マススパーを頼む為にもう一度ニ階に行きました。そして道場を覗くと・・・。
・・・扇風機がない。あれ?ない。置いてあった場所から消えている。あれ?あれ?きょろきょろと探すと、更衣室の奥に、しまってあります。え?どうして?
疑問に思いながらも、時間がなかったのですぐにマススパーをしてもらい、先生が帰ってゆくと、ダンナさんが私の方を向いて、「あのね、ソンラム先生、お前が階段を上って行ったの
見てて、お前の姿が消えたその瞬間に、扇風機のコンセント抜いたよ」と言いました。
「えーっ!扇風機ダメだったんだ!いつもの『ありがとー、だいじょぶ』、って言って返したんだ」「ううん、そんな言い方じゃなかった。『いらない!』って言ったね」
ああ、先生、よっぽど嫌だったんだ・・・先生、それが日本語で言う「余計なお世話」ってやつなんです・・・って、私がいたら教えてあげたのに。
でも、私がいた時は何も言わないところが、ソンラム先生の優しさを感じるなあ。
よーし、では、微妙な感じで攻めてみよう。数日後、私はソンラム先生が来る1時間ほど前に道場にゆき、28度設定にして(あまり下げすぎると、多分すぐに切られるので)、冷房を入れました。そして、こっそり退出し、先生が来て5分後くらいに道場へ行って、素知らぬ顔で入ってゆきました。・・・冷房切ってない!よし、よし!
これはシアン先生の時もやった作戦ですけど、シアン先生は入ってきて冷房が入っていると、即、窓をすぱーんと開けてしまったので、この作戦は通じなかったのです。
でもシアン先生よりも静かな性格のソンラム先生は、冷房見ながら5秒ほど(んー)という顔はしてましたが、窓を開けることはしませんでした。
これだー!やったやった!この夏は救われた・・・。毎回この作戦でいけば、まあ28度設定だから動き始めればやっぱり暑いんだけど、それでも、全然辛さが違う。今日は皆さんいきいきしている気がする。夏のこの時間、元気なのは網代さんとうちのダンナさんだけだったからなあ。
次の稽古の日、私はやはり一時間前に道場に入り、こそこそと窓を閉め、冷房を入れ、一度自宅に戻りました。さあ、もう大丈夫!いつもはミット稽古の前には昼ごはんはほとんと食べないのですが(胃に物が入っていてあまりに暑いと、気持ちが悪くなるので)、今日はもう大丈夫。がっつりと昼ごはん食べて、のんびりとお茶を飲んであー幸せ・・・さあそろそろ時間だ!と、鼻歌を歌いながら道場に向かいました。
歩いてゆくと、道場が遠くに見えてきて・・・気のせいだね、窓が開いてるように見えるけど。どんどん近づいてゆくと・・・空耳か?窓が閉まっていると聞こえないはずの、ミットを蹴る音がばしばしと聞こえてくる。いやそんなはずはない。私は確かに冷房を入れた。そんなはずない、いやそんなはずは・・・。道場に入ると、いつも通りの、窓が全開になっていて、冷房はピクリとも稼働していませんでした。
どどどどうして?私は震える手で、ソンラム先生にワーイ(タイの、拝む仕草の挨拶)をして入ってゆき、ダンナさんに小声で「冷房を入れてあったはずなんだけど!」と言うと「えっ知らないよ。俺が来た時はこの状態だったよ」とダンナさんは言いました。じゃ、誰が?小沢さんが事務仕事で寄った時に、冷房かけっぱなしだな、思って消したのか?だとしたら、固い棒のようなもので彼をぼかぼか叩かなければいけない。
でも一番怪しいのは・・・・それはやっぱり・・・・。
ソンラム先生に「ミットをお願いします」と言うと、先生は心なしか私の顔を見て、「にやり」と笑ったような気がしました。いや、それは絶対に目の錯覚なんですけど、とにかく、その日のミット稽古はもう最悪でした。だって、ずっと吐きそうだったんですもの。心の中では(おえええっ、気持ちわるううっ)(もう無理かもー)(先生も巻き添えくって大変なことになったらごめんなさい・・・でも先生が悪いんですよ・・・)とか、そんなことばかりが頭の中をぐるぐるしていました。
ということで、ソンラム先生との闘いは完敗に終わりました。まあ、こんなことばかり書いてしまいましたが、ソンラム先生の技術はすごいです。はっきり言うと、神レベルです。全くの予備動作なくパンチも蹴りも出せるあの体の使い方を、少しでも習得したいなあ。頑張ります。
わたくし愛用の、シンハビールTシャツ