八王子 八王子みなみ野担当の大谷です。やって来ました不吉な十三回目 もう書くことないぞ(怒)。さて何書くか・・・
美術館の開館五周年を記念して「私は一つのりんごでパリを驚かせたい」と宣ったポール・セザンヌ大回顧展。ライフワークともいえる静物画【りんごとオレンジ】も勿論登場。本当に驚かせることが出来たのか。Give Me True! いざ六本木へ。
田舎町プロヴァンス生まれ、成り上がり資産家の父親(しかも厳格)の希望は弁護士。しかし絵が好きだったセザンヌ、迷うセザンヌに友人で後の自然主義作家のエミール・ゾラがこう語りかけます。「僕が君の立場なら、アトリエと法廷の間を行ったり来たりすることはしない。弁護士になってもいいし、絵描きになってもいいが、絵具で汚れた法服を着た、骨無し人間にだけはなるな!」。 これです。さすが有名作家になる男、説得力あります。これで覚悟を決めたセザンヌ、いざパリへ。
最初は印象派のピサロに影響を受け、共に活動し、印象派展にも度々作品を出展。しかし、対象を時間とともに移ろう光のみに焦点を置く印象派の技法に懐疑的になり、袂を分かちます。従来の伝統的な絵画のルールに縛られない新しい絵画を目指し、再び故郷プロヴァンスへ。はやっ(汗)
「自然を円筒、球、円錐によって扱いなさい」。後のキュビズムに多大な影響を与えるこの言葉。対象を繰り返し捉え直し、書き直し続けたあげくに到達した境地、静物画用に準備された果物は、描き終えたころには腐って跡形もなかったといいます。(驚き)
【りんごとオレンジ】対象すべての視点を変え、画面上に構築し直す、今まで誰も考えつかなかったことを平気でやってのけてます。画面からこぼれ落ちそうな果実、冒頭の言葉のせいなのでしょうか。不安定要素満点なのに何故か安定している。一見、下手くそに見えるこの絵、見る人が見たら度肝を抜かれたことでしょう。ブラックやピカソが驚愕したことは想像し難くないです。しかし晩年まで殆ど評価されることはなく、一度だけサロンに入選しています。知り合いの審査員に無理矢理 頼み込んだらしい・・・せこい。(涙)
そんな彼ですが画家や画商のファンが多い。 そんな彼をパンクのゴッドファーザーならぬ近代絵画の父と呼んだ。ある日、 野外制作に出掛けた彼は、大雨に打たれても描き続けます。たまたま近くの農夫に発見され、荷馬車で運ばれて来たときには気を失っていました。しかし、翌朝 早くからベッドを抜け出し、再び野外制作に出掛けたセザンヌ。戻って来たときには瀕死の重症だったそうです。「私は絵を描きながら死にたい。絵を描きながら死ぬんだ・・・」常日頃 そう言っていたセザンヌ その一週間後には亡くなります・・・その言葉通り逝ったセザンヌ 絵画の世界に風穴を開けた男・・・
果たして我が輩はセザンヌを理解出来たのであろうか? 次回がないことを祈りつつ・・・。