2011/10/10
魔のねずみ王国
江口美幸です。
最近結婚式が続いたのですが、この間の結婚式は、なぜだか、ディズニーランドのすぐそばのホテルで行われました。
その招待状をもらったとき、私達夫婦は話しました。今、私達は休みがなく、実家の用事もあり、週7日、毎日働いている状態なので、その忙しさにかまけ、子供のために旅行をしたり、子供が喜ぶような場所に連れていってやることが全くありませんでした。
毎年の夏合宿が「夏の家族旅行」で、毎年の大山総裁の命日に三峰山に連れていくのが「ハイキング」(館長や支部長が神社から去られた後に、三峰神社の長い階段を登ったりして遊ぶ)でした。
そんなかわいそうなうちの娘を、どうせ幕張まで行くのだったら、かの有名なあの遊園地へ連れていってあげようではないか、と。
ということで、行ってきました、あの夢の国へ!行く数日前、国分寺道場生の斎藤さんに「そこには納得できないこともあると思いますが、全て忘れて、夢にひたってきてください」と、穏やかに微笑みながら言われて、意味がよくわからなかったのですが、最後には、斎藤さんが言っていたのはこういうことだったのかと、よくわかりました。
とにかく高い!入園料は言うまでもなく、売り物全てが相場の約3倍の値段が付いているのにはびっくりしました。水やジュース一本でも、国分寺商店街にいたら、そばやラーメンが食べられる値段です。いや斎藤さん、全然夢にひたれないですって・・・私達の心の中には、くっきりとリアルな‘円’の文字があり「このかき氷一つが600円!?国分寺祭りの縁日でそっくりな物が100円で売ってるぞ」「風船が700円って、なんだそりゃ!」とか、抑えられない怒りが噴き出します。
お昼にレストランに入り、大食いのダンナさんにしては抑えて頼んだにも関わらず、ニコニコした若いおねえさんに「全部で6500円になります」と言われた時には、そのきれいなお姉さんに、渾身のローキックをかましてしまいそうでした。
100歩譲って、高くてもすごく美味しかったらよいのですが・・・ダンナさんが、思わず黙るほどのまずさ・・・。「鶏肉、パサパサだ」「でもここに、ジューシーチキンがどうのって書いてある」「どこがジューシーなんだよ!ちくしょう!あの黒ネズミめ!ぼったくりやがって!」とか、子供に聞こえないようぼそぼそと怒る私達。
ええ、子供はもちろん喜んでおりました。ぬいぐるみが通るたびに、「一緒に写真撮る」と追いかけるうちの娘。でも不思議なことに、周りにいる大人達もそいつと一緒に写真をきゃあきゃあと撮りたがり、結構待たなくてはいけないので、面倒くさくて仕方がありません。大人なんだから、人が中に入っていることはわかっているはずなのに、なぜありがたがる必要があるのか?
私が良く知っている道場生が、昔の仕事の関係で着ぐるみに入っていたことが何度もあり、そのとき「あれ着ていると、女の子のガードが全然なくなるんですよね」って、呟いたことがあります。
そんな、嫌な思考のマッチョが入っているかもしれないんですよ!みんな無防備すぎます。
子供が一番喜んでいたのは、水が不規則に地面から出る噴水で、そこの場所で小一時間ほど夢中になって遊んでいました。でもそれって、別にここじゃなくてもいいよね、近くの公園にもこれと似たのがあったなあ・・。
そのとき、ふと後ろを見ると、ダンナさんは、周りの視線も気にせず、立禅をしたり、足運びの稽古をしておりました。わかる!その気持ちよくわかる。この、無為な時間を、少しでも有意義にしたいというその気持ち。
私はダンナさんほどは周りを無視できないので、肩甲骨周りをこっそりと動かしてパンチの時の柔軟性を高めたり、子供のことをほほえましく見守る母親の姿を装いながら、できる限りの稽古を必死でしていました。
「水が地面から噴き出す広場」
(人が多くて、暑かった!その炎天下、パレードが始まる2時間前に席取り
していた人がたくさんいたんですが、あの人達は正気なんでしょうか)
確かに夢の国だなと思ったのは、大人が、ミッキーの耳がついたカチューシャなどを平気でしていたり、まるで子供のように、熊のぬいぐるみを小脇に抱えていたことです。いや、若い子ならまだいいんですが、たまに、「ううー、おばちゃん、それはちょっと」と呟いてしまう時があり、うん、あの人は確かに夢を見ている!でもそろそろ夢から覚めて現実を見つめた方がよいんじゃないかと思いました。
家に帰り、遊び疲れてぐっすり眠った子供たちを寝床に運び、ダンナさんとビールを開けて「お疲れ様―!」と言って乾杯しました。そして二人で、よく頑張ったと褒めあい、お互いの労をねぎらったのでした。そして、ぶうぶう文句を言い合い、最後に「よく見たらあのキャラ達、全然可愛くない」という結論に至ったのでした。