2010/8/12
プロフェッショナルの話 江口芳治
道場には様々な職業(プロ)の人がいる。
会社勤めの人、教育関係の人、法律関係の人、警察官、医師、小説家、俳優等、多種多様な人たちが「極真空手」という一つの道を極めんと汗をかいている。
これも「極真空手」の魅力の一つである。
色々なプロの集まりである道場の中でも特に異彩を放つのが、通称「アル中軍団」である。
そう、彼らはプロの酒飲みであり、飲酒が彼らの生業なのだ。
彼らは共通する職業として、皆、バスの運転手をやっている。
しかし副業といえども仕事なので、勤務中は絶対に飲まないのだ!!(当たり前だ!)
このアル中軍団のリーダー格は、空手歴10年、188p110kgの巨体を誇り、ベンチプレス200数十キロを上げる、怪力のOさんだ。(新克利に似ている)。昼クラスを主戦場とし、この巨体で素早い後ろ蹴りを出す、なかなか物騒な男だ。
このOさん、ときどき巨体に似合わぬ華麗なフットワークと連打を出すときがある。そういうときは決まって「いやー、昨日は深酒しなかったんですよー。酒が抜けてると体が軽くてよく動きますねー」ってOさんそんなの当たり前だよ・・・・・・。
Oさんはもうすぐ50歳だが元気いっぱいだ。先日の話だが、道場の飲み会が夕方6時にスタート。その日に家を出るとき、Oさんは奥さんから「ちゃんと電車で帰ってきなさいよ」と注意された。いつも飲み過ぎて終電に遅れ、タクシーで帰るからだ。だからその日Oさんは皆に「俺は電車で帰る」と宣言したらしい。するとアル中軍団大将格のSさんが「今日は帰しませんよ〜」とニヤリ・・・・・。
さあ、ここからアル中軍団のプロの酒飲みとしての本領発揮だ!Oさん曰く「いやー6時から飲み始めると、10時くらいまではちゃんと4時間かかるんですけど、10時から夜中の2時くらいまでは30分で過ぎちゃうんですよー」
Oさん、意味わかんないよ・・・・・・。そして、その飲み会の何次会かが終わり、Oさんはちゃんと電車で帰ったのだ・・・・・・始発で・・・・・・。
Oさんは言った。「家に帰って女房に『ちゃんと電車で帰ってきたぞ』って言ってんですけど、あの日以来口きいてくれないんですよー」Oさん、そりゃ奥さんが正しい。あんた間違ってる・・・・・・。
でもこのOさん、健康診断の結果はいつも「異常なし」だ。毎晩飲んでるのに・・・・・・。やっぱりどんな道でも「プロ」は違うなと思った。