2010/5/3
土方さんの便箋
江口美幸です。
なんだか最近、道場の職員や指導員が、戦国好きだの幕末派だの、すっかり歴史がブームになっているようです。
私も歴史は嫌いではありませんが・・・歴史の本を読むのは大好きですし、学ぶことが多くて面白いですよね。
でも、大河ドラマって一度も観たことないし、もちろん、携帯のなんやらいうやつで、
自分が戦国武将の誰のタイプかなんて、全然知りたいと思わないし・・・私の心の中で、彼らと一緒にされたくないという思いが強くあります。
そんな先日、机を整理していたら、お手紙セットが入っている引き出しの中に「土方歳三記念館」と上に印刷され、
あの幕末の新撰組副長、土方歳三の写真が載っている便箋を発見しました。
これは、懐かしい!もう何年か前に、土方歳三のお墓がある高幡不動で、彼の命日だということで、
極真会館が頼まれて演武をやったときに、記念館の館長の土方さんという女性(間違いなく子孫の方)にもらったものです。
外のお墓の前でやるはずが、雨のためにお堂の中でやりました。
演武の前に「土方歳三先生に、礼!」とお墓のある方角に向かってみんなで礼をしたのを覚えています。
そうだ色々思いだしてきた、あのとき、私の割ったバットや、ブロックを持ってくれたのが、二人とも全日本選手権2位の、
ロシア人のマキシム・デディックさんと、スペイン人のアレハンドロ・ナヴァロさんでした。
今思えば、持ち手じゃなくて、彼らが割ればよかったのに。まあ、ぜんぜんブレない鉄壁の持ち手だったから、とても安心でした。
ナヴァロさんは、あの時はまだ少し華奢で、今のような変なひげは生えていなかったなあ。
マキシムさんは結構親しみやすくて、ダンナさんが寸頸で割った瓦の山やダンナさんの大胸筋を嬉しそうにデジカメで撮っていた・・・。
土方歳三の霊がもしいたら、私のような女性や、青い目金髪の思いっきりな白人が空手着を着て皆で演武をやっているのを見て、
時代の流れというものに驚き、やれやれと首を振っていたかもしれません。
でも間違いなく言えることは、ナヴァロさんもマキシムさんも、新撰組のことは知らないでしょうねえ。
・・・ん、まてよ、あの時確か、うちの職員の小沢さんも手伝いで行ってたぞ。
小沢さん、確かこの一人言で、「新撰組が好き」ってカミングアウトしていなかったっけ?
ということは、あのとき彼は、せっせとブロックなどを運びながら、ひそかにわくわくと心躍らせていたの?
それならそうと、言ってくれればいいじゃない。私と「お弁当食べた?」「おーす」「アジサイがきれいだねー」「おーす」「この石碑の漢文、何て書いてあるの」「・・・返り点を付けてくれれば、読めます」
とか、無表情のまま下らない会話してる場合じゃなかったじゃない。
「おす、実は自分、新撰組大好きなんです」と一言発してくれれば、それなりに話が弾んだじゃない。
感情を表に出さないことが空手家の美徳とはいえ、こういうことはいいんじゃないかしら。
それで土方歳三のその便箋は、小沢さんにあげることにしました。
だって、中をめくると、リアルな刀の絵が浮き彫りのような感じで描いてあるんですよ。
大人の女性が、刀が描いてあるお手紙を出す機会は、日常生活で今までなかったし、これからもありそうにないです。
記念の品で貴重なものだし、決して気に入らなかったわけじゃないんですが、喜んでくれる人が持っていたほうが、物だって幸せですから、はい・・・。
で、何日か前にそれをあげた時の小沢さんの顔は、いつもよりもちょっとテンションが上がっているように見えました。
壁に飾るそうです。よかった、よかった。