2009/9/9
東天の獅子
南大沢・北野道場の川嵜です。
夢枕獏さんの著書『東天の獅子』を読みました。
読みかけの本を横に置き、あまりの面白さに全四巻を一気に読み終えました。
明治の初期、急速に入り込んできた西洋の文化により近代化していく中で、武術は必要とされず廃れていく時代。
柔術は野蛮とされ学ぶ者が殆んどいない時に、嘉納治五郎が柔術に出会い講道館を作り上げていく様が描かれています。
加納治五郎という名こそ知ってはいましたが、東京大学という最高学府で最新の教育を受けながら、日本古来の柔術を学び、文と武を両立し実践しながら柔らの道を追求してきた先に今日の“柔道”がある事をこの本で知りました。
物語の中では、その時代背景だからこそ実在したであろう魅力ある武術家が沢山登場し、当時あった他流試合の様子が多く描かれています。
その闘いの描写が細かくリアルで、読んでいてとても興奮しました。
読んでいて感じさせられることが多かったですが、中でも物語の後半で横山作次郎が言った『試合のために稽古をするのではなくて、こういう日々の稽古のために、生きている普段の時間を充実させるために、試合があるんじゃなかろうかと、この頃は思うようになりました』という言葉は深く心に残りました。
興味がある方は是非読んでみてください。